日本渓流JP翠渓会日本渓流会JP翠渓会【関東南部支部】PRODUCED&EDITOR 【嵐翠・翠月】

大菩薩連嶺の渓流【再回想】3

大菩薩連嶺の渓流【再回想】3
葛野川水系で一番多く通ったのが、土室川と奈良子川だった。土室川は隣接している泉水谷の小室川谷とよく間違えられるが、小室川ではなく、土室川だ。今は入れないがダム工事が始まり立ち入り禁止前まで、隣の鶴川水系と共によく入渓していた。土室川は、松姫峠への県道が整備されている為下流は入渓しやすい。『細トヨ』と呼ばれる狭所が一ヶ所あるだけで、大きな滝もなく遡行には支障ない。今は、湖底になったが、左岸に小径が源流の魚止め滝先まで通じていたのでよく使った。もうダム工事が始まり掛けていた頃のある日、この頃は他の渓にも通っていて、工事が始まれば、10年は入れないだろうと思い一年ぶりの春に入渓した。暫くいつもは下流にも魚影があり、釣れたが全くアタリがない?どうした事か?延々と渓を歩きだす。う〜んひどい土砂だ。山崩れでも有ったか?ダム工事の影響か?金小屋沢が出合うと渓が深くなる。ここ迄アタリがない!過去にはこんな事はなかった。 そしてとうとう、魚止め滝に着いてしまった。滝は高くはなく流れだしもきつい。いつも右側から腰を据え粘る。なんでアタリがないんだろう?ずっと考えながらの遡行だった。淵も埋まっていた場所が多い。う〜ん。やはり止めにもアタリなし!魚がいなくなった?土室川は昔からヤマメの谷だ。するとやっと来た!なんだいたじゃないか?上げると7寸のヤマメだった。それからも一時間は粘ったがアタリはなし。魚を網から放した。滝上もアタリなし。これから深城ダムや葛野川ダムの工事を魚が知って隣の谷に引っ越したか?と思うほど魚がが居なかった。それから間もなくダム工事が始まり、立ち入り禁止になった。あの7寸ヤマメが最後だった。あの目の綺麗な雌のヤマメを今も忘れる事はない。

翠月



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