丹沢の渓流【再回想】5

丹沢の渓流【再回想】5
地蔵平周辺の渓流と同様に、世附川(ゆづくがわ)本流も広河原を過ぎ、『水ノ木』まで来るとやはり散開した沢になる。水ノ木沢、金山沢、織戸沢、大棚沢などだ。この内大棚沢が規模が大きく水ノ木平周辺でも有望だ。明神からよく歩いたものだ。道志村から山越えで入る健脚者とも出合ったが、ルートをよく知っている人物だった。夜中に歩き出していち早く入渓したのに、何故か先行者が…?。地蔵平周辺のように水の木でも、沢名に目が行く、またまた勝手な想像が始まる。織戸→織人?金山→金鉱、大棚→大滝、馬印→木馬?アタリもあるか?『棚』は丹沢では当たり前の呼び名だし、森林軌道があったのだから、『水ノ木』が格好の貯木場だったのは必然だ。(水ノ木林道)夜中に歩きだし、世附川(ゆづくがわ)本流の芦沢橋〜悪沢出合の吊橋を潜り、山百合橋ではもう我慢出来ず、竿を出した。ここからじっくり釣って、水の木へ。午後は大棚沢か土沢を釣って浅瀬に戻るが14時間行動になる。なので、夏は、水の木付近での幕営釣行になる事が多かった。林道を歩き慣れてるなら、夕間には浅瀬に戻れる。土沢は世附川(ゆづくがわ)水系の中でも、渓相抜群な渓流だ。ヤマメの型は良いが釣り時期は少し遅れる。小径が絡み源流まで続く。土沢はよく明神からの林道から見ていたが、下流程、谷が深い。水の木奥は熊の生息圏だ。地蔵平奥〜菰釣山〜の尾根筋でも登山者が遭っていると聞いた。近年はどうか?久しく行っていないが…。
●世附川は【ゆづくがわ】と読む。行政地名等は【よづく】で統一されている。現在では【ゆづく】と読めない人や経緯を知らない人間が勝手に世を(よ)づくといい、看板まで変えている。それが一般名になっている。世をゆと読むほうが困難である。昔の地元の人に聞いているので間違いない(40年代) 本来【ゆづく】も方言での呼び名だそうだ。
翠月